櫛形山山麓で
明治5年創業
株式会社 横内酒造店
Yokouchi-Shuzoten
櫛形山の清らかな水
甲府盆地の西南に位置する櫛形山。なだらかな稜線が和櫛の形に似ていることからそう呼ばれるようになったとされる。標高は2,052メートルで、南アルプスの前衛峰として豊かな自然環境を形成している。横内酒造店はその山麓に位置し、清らかで質の良い伏流水で仕込んだ酒を販売している。
優しい笑顔が印象的な5代目蔵元の横内孟社長は、「生活の中で使っている水なので普段は良さに気付きませんが、よその地に行った際に水を飲むと、『やはりうちの水はおいしい』と違いを実感します」と水の魅力を語る。蔵は1872(明治5)年に横内甚右衛門が創業した。酒銘は「榊(さかき) 正宗(まさむね)」。神様の世界と人の世をつなぐ境の木と言われる「榊」の名を持つ地で、神事に用いる日本酒を造るということは当時大変な名誉のことだっただろう。
淡麗ですっきりとした味わい
米の旨味を残しつつ、淡麗ですっきりとした味わいの酒は150年もの間、地酒として多くの人々に親しまれてきた。取り扱い商品は「榊正宗」の大吟醸、純米吟醸、純米酒、本醸造、特別本醸造、しぼりたて生原酒など9種類。全国新酒鑑評会や東京国税局酒類鑑評会での受賞歴もある。
「榊正宗 純米吟醸」は品質と価格のバランスがとれた人気商品。山田錦を50%まで精米し、ゆっくりと時間をかけて醸した酒だ。まろやかな香りと、米の旨味を活かしたコクが堪能できる。山田錦をさらに極限まで磨き上げたのが「榊正宗 大吟醸」。キレのある喉ごし、華やかな吟醸香…と全てが一級品の仕上がりだ。そのままでもおいしく、さまざまな料理に合わせやすい。
また、春夏秋冬それぞれの季節ごとに熟成が進み、味わいが変化する「しぼりたて生原酒」は、本醸造のもろみを搾っただけの原酒。酒蔵でしか出合えなかったおいしさがそのまま瓶詰めされ、春には若葉のようなフレッシュな味を、秋にはグンと旨味のある酒質を楽しめる。敷地内には直売所があり、試飲も可能。好みの1本をじっくりと選んでみるのも楽しい。
特定名称酒のみを製造販売
横内社長は「自然な味わいとコクのある芳醇の旨さを求めている」として、全量が本醸造以上の高級酒に分類される「特定名称酒」。普通酒・廉価酒は造っていない。原料米はほとんどが山梨県産米で、特に山梨県産の山田錦の使用量は全体の60%以上になる。
150年という長い歴史を持つ横内酒造店。その重みを感じているだけに、「小さな蔵ですがお客さんのニーズに応えられるよう、身体が続く限り頑張りたい」と意欲的だ。
株式会社横内酒造店
住所:山梨県南アルプス市上宮地57
TEL:055-282-0038 FAX:055-282-7444
URL:r.goope.jp/sr-19-192081s0307